x2a.なみがうちの猫になる-1

2011年9月 2日 (金)

黒猫のなみちゃんがうちの子になるまで(5) なみちゃんなんか、もう知らない!

それから公休が続き、昨晩は久し振りになみちゃん(=クロちゃん)に会いました。あんなことがあったけど、ここに居続けてくれてよかったです。だけど呼んでもぜんぜん寄って来ないです。まあしばらくは仕方ない。お腹減らしてただろうから、カリカリと水だけ置いとくね。

作業場に帰って上司の Yさんに「あの子やっぱ警戒してますワ」と言うと Yさん、「そーかあ?フツーだったけどな。足にスリスリしてゴハンも食べたぞ」。えー、なにそれ、オレだけなの?傷つくなあ・・・

私は意地悪な決心をしました。
『もういい!なみちゃんなんか無視してやる!』
今では所内でクロちゃん(=なみちゃん)を知る人も増えて、食べ物をくれる人もいます。私は昨晩から何回もそんな横を通り過ぎましたけど、今回は一度も、視線もくれてやりません。

猫にこんな仕返し、効くのかどうか分かりませんが(苦笑)、さっき帰宅するとき、また同じことをしました。なみちゃん、相手してくれてた人の傍をはなれてこちらに歩きかけたように見えたのですが、私は一切構わずに立ち去りました。大事なものを断ち切るような痛みを感じましたが今日だけは意地悪な気持ちが勝ってしまいました。

また次に出社すれば会える、という楽観があります。でも本当は、これがなみちゃんを見る最後になるかもしれなかったのですが、いまそんなこと、分かるはずもありません。

第1話へ 第6話へ (全11話)

2011年8月29日 (月)

黒猫のなみちゃんがうちの子になるまで(4) 捕獲作戦、大失敗!


秋になればセミもいなくなってしまう(2011年9月26日撮影)

私の小さな膝の上で安心して休むクロちゃん(=なみちゃん)。ここをずっとこの子の居場所にしてあげたい、と強く思うようになりました。

いま事業所の敷地内には蝉がたくさんいます。みんなで「あの子、何をたべてるんだろねー?」「きっと蝉だよ。羽根だけ落ちてたりするもん。」「あれ、栄養あんのかなー?」なんて話してました。夜の散歩の途中で、弱ってる蝉を捕まえようとするのを見たこともあります。今はいいけど、もうじきいなくなると、食べるものがなくなっちゃうんじゃないか。Yさんも「飼ってやりなよ」と言います。気の重いことも多いけど、これはもう連れて帰るしかない、となりました。

一昨日の朝、一度車に乗せようとしたのですが、クロちゃん、車が怖いらしくて猛烈に抵抗。こりゃダメだと、今朝は猫キャリーを持ってきました。

午前8時勤務終了、猫キャリーを手に、場内でくつろいでたクロちゃんに接近。一昨日の件でかなり警戒してますが、こちらカリカリ(餌)で応戦、誘惑に負けたクロちゃんが餌を食べようとしたその時、私は「今だ!」とばかりに彼の腕を捕まえました。驚くクロちゃんを力任せに猫キャリーに押し込みかけて「これで安心だよ」と思った瞬間、指に思いっきりかじりつかれました。

そんなに痛くなくてしばらく頑張ったですが、なんか指から血も出てきちゃったし、クロちゃんの体をこれ以上の力で押さえつけるのもまずい。仕方なく手を放しちゃいました。あーあ、大失敗! これでクロちゃんは私に近付いて来なくなるね。

病院に行くと、抗生物質を点滴されました。やはり猫好きだと言う看護師さんが話を聞いてくれて、「その猫ちゃん、いい飼い主さんに拾ってもらえるところだったのにねー」と慰めてくれました。これであの子を守る手段がなくなった。点滴が終わるまでの 30分、私は処置室の天井を見ながら次の一手を探しましたが、いいアイディアは出てきません。はぁ、敗北感・・・

第1話へ 第5話へ (全11話)

2011年8月25日 (木)

黒猫のなみちゃんがうちの子になるまで(3) きっと、束の間の安らぎ


明け方、花壇に座って話しかける

「Yさん、黒い猫って見てないですよね?」

ゆうべ出社時、あまり期待しないで上司にそう聞いたら、意外な答えが返ってきました。

「ああ、Mちゃんが見たって言ってたぞ。その辺にいるんじゃねーか?」

そう言って建物横の植込みのところに行って「クロ、クロ!」と呼び掛けました。クロちゃん、すぐに出てきました。こんなところに居たんだ~!

なんか痩せてて小さいです。あまり食べてないんだろ、と言って、Yさんは「これやって来い」と、自分の弁当のコロッケをくれました。私が猫好きなのを知ってて、手柄を譲ってくれたのですね。

クロちゃんの目の前にコロッケを差し出して「これでオレ、クロちゃんのヒーローじゃん」とか思ったのですが・・・あれ、クロちゃん? コロッケを奪うようにくわえて、5m くらい逃げて食べ始めました。おーい、感謝してる・・・? 食べ物をもらうのに必死なんだなーと感じました。

-------

それから 6時間ほど働いて仮眠時間、また外に出てみると、クロちゃんいました。花壇に座って話しかけると、膝に乗ってきました。機嫌よく遊んでたのにいきなり力任せに噛みついてきたり、だっこしてあげたら爪の効いた猫ぱんち思い切りくれちゃったり。よく馴れてるのに、かなり乱暴。まーいーや。そのまま私の膝の上で、安心したように眠ってしまいました。

この子のこれまでがよく分かりません。飼い猫だったような気がしますが、なんで突然ここに現れて、住み着いてるのか。どうしてこんなに人なつっこいのに乱暴なのか。もて余して捨てられちゃったとか? この子、これからどうなっちゃうんだろ。

いま、私はこの子に膝を貸して、無上の安らぎを提供出来てる自信はありますが、それが束の間の平穏であることは間違いない気がします。このままにしてあげるのがいいのか、家に連れていって閉じ込めて飼うのがいいのか、全然分かりません。

はなちゃん、ホントどうしたらいいんだろね?
飼っちゃいけない、飼っちゃいけないと思いながらも、いつの間にか、私はこの子につける名前を考えてました。はなちゃんの『な』の字をしりとりして、なみちゃん。

第1話へ 第4話へ (全11話)

2011年8月24日 (水)

黒猫のなみちゃんがうちの子になるまで(2) やっぱ飼えないよね~


たすけて はなえも~ん!(2000年2月14日撮影)

あれから 3晩、黒猫ちゃんに一度も会ってません。猫好きとしてはもちろん飼いたい気持ちもありますが、今回はムリだなと思ってます。

人に食べ物をおねだりしながらも、野良ちゃん生活を確立してる子を、マンションの家猫にするのはかわいそうに思えるんですね。一度飼ってしまったら、そのあと『外へ出たい出たい出たい!』と言われても、もう放す訳には行かないですから。

それと実家の皆に『もう絶対に飼うな』と言われてるのも気が重いです。はなのときにもずっと不興を買って来ました。

でも反面、あの子がいまの野良ちゃん生活を続けるのは危険な気もして悩みます。こんなときは、いまもすぐ傍で私を見守ってくれてるに違いないはなに相談します。

「ねー はなちゃん、どうしたらいい? もし君が『あの子を飼ってあげるのがいい』と思うなら、僕をあの子に会わせてよ。『飼わない方がいい』と思うなら、僕があの子と会わないように導いてね。」

このままあの子に会わずに終わるなら、それもはなの判断として受け入れるつもりです。

第1話へ 第3話へ (全11話)

2011年8月21日 (日)

黒猫のなみちゃんがうちの子になるまで(1) 仕事場に迷い猫が出現

いつもご覧いただきありがとうございます。なかなか野外録音の音声を更新できてなくてすみません。縁あって、また猫を飼うことになりました。本当ははなちゃん以外の子を飼うつもりはなかったのですが。このひと月のことを、後付けですが、数回に亘って日記に書いてみようと思います。お付き合いいただければ嬉しいです。(2011年9月20日)


黒猫のなみちゃん(8月25日撮影)

会社の事業所に迷い猫が現れました。明け方の 3時半。外に出てみると、階段の踊り場で 2つの目がこちらをじっと見てました。


なみに出会った階段の踊り場(11月1日撮影)

愛猫のはなが他界して、まもなく 4ヶ月になります。あれ以来いつも「はなの生まれ変わりの子はいないかな~」って思いながら町を歩いてます。でもいまは外猫ってなかなかいないですね。

猫は久し振りな気がします。会話してみたくなりました。静かな声で話しかけながら、ゆっくりと近付く。怖がらせてはいけない。目は合わせるでも合わせないでもなく。1分くらいかけて傍に着くと、箱型に座ってゴロゴロ言い始めました。あ、この子けっこう馴れてる。


なみは踊り場から降りてきて、真ん中の柱の下に箱型に座ってゴロゴロ言い始めました(11月1日撮影)

そのまま散歩を始めると、しっぽを立ててついてきました。うれしいけど、遠くまで連れて行くと迷子にならないか心配になりました。別棟の外階段で、手で制止しながら「ここからはついてきちゃダメだよ。」と言いました。コトバが通じるわけないけど、なんとなく伝わったようです。階段の下にしばらくいたけど、そのままどこかへ行きました。いつもこの辺にいるのかな。また会えるといいな。

第1話へ 第2話へ (全11話)

無料ブログはココログ